敬神生活の参考になる良い話です。
良い話その2
(HTML版の頁の方は多くの漢字に仮名を振ってあります。読み難い方はそちらをご利用下さい。)
--- 中国の 親孝行な 娘さん ---
北京の 崇文門の外に花児市といふ街があって、 多くの住民は 花を作るのを生業としていた。
そこに病床の老父を養って、まめまめしく看病しながら働いて居る若い娘さんが居り 、
やはり 花を作って生活していた。 父はながいこと病んで起きられず、 娘はおもてむきは慰めながらも
陰では心配していた。 春になって近所のお婆さんが附近の婦人連を誘い合して
了髻山(北京東方にある山)にある 碧霞元君(へきかげんくん) ( 中国道教で信仰の篤い女神) のお宮に
参拝に行くことになると、
娘は尋ねた。 「 お参りすれば父の病を 癒すことができますか」。
お婆さんは言った。 「 誠心誠意で祈れば、 必ず霊験があるよ」。
娘が 「こちらから山まで、 道のりはどれほどでしょう」 と 言うと、
お婆さんは 「 百余里だよ」 と 言った。
娘が 「 一里とはどれほどでしょう」 と 聞くと、
お 婆(ばあ) さんは 「 二百五十歩だよ」 と 言った。
その貧しい 娘さんには旅費もなく又それだけの時間もなかった。それからその娘さんは毎晩 、
お父さんが睡って静かになってから一本の線香を持って家のぐるりを走り廻って、みずから
歩数と里数を数え御山へ参拝する気持で一心に凝り固まり祈願すること半月あまりになった。
その御山は碧霞元君を奉祀したところで、毎年その時節がくると立派な身分の人や商人達
参拝するのであるが、早朝一番に香を上げるのを頭香といって、頭香はとてもお金持ちの人
が供えるものと決まっていて、庶民は出過ぎたことをしないようにしていたのであった。その年は
大監( 大監とは中国の身分の良い役人のこと)の張さんという人が其の頭香に当って
早朝に神殿を開かせると、すでに誰かが香を上げてあったので不機嫌になり廟主を責めたが、
廟主は「 神殿は開けておりません。この香がなぜ供えられているのかは分かりません」と言った。
張が「 過ぎたことはもう良い。 明日、 頭香を供えにくるから、 待って居れ。 他の者を先に入らせ
ないようにしろ」と言った。 張が其の翌暁、まだ暗いうちにお参りに行って神殿を開かせると、
炉の香はやはりもう供えられていた。 身すぼらしい娘がその前にひれ伏して祈願して居たが
人の声を聞くと、たちまち姿が見えなくなった。
張は考へた。「こんな神厳なところへ幽霊が出る筈もない。これにはきっと何かわけが有るであろう」。
門外に参拝客たちを集め、目にしたその娘の髪かたちや服装を詳しく語り、何か心当りは
ないかとたづねた。花児市のお婆さんが、それなら私の近所の娘に相違ないと言い、そして
娘が家で父が助かるように礼拝している事を話した。
張は驚いた。「それはきっと孝女( 親孝行な女性のこと)で、 神さまが感動されたのであろう」と言い、
張はわざわざ山を下って遠路を車馬に乗って其の貧しい娘を尋ねてみると、
神殿でみた娘に相違ないので驚いて其の孝心( 親孝行な心)をほめ、沢山の金品を与えた。
その後、じきに其の老父の病気も全快し、大監の張さんという人が援助したため、家は
だんだん豊かになり、その娘さんは立派な家の人と結婚した。
--以上 --
注)
どの国においても、まことな心で一心に祈ればはるかに遠方から祈願しても必ず通達します。
この娘さんの信の力の強さは見習わなければなりません。
この孝行な娘さんの行いには碧霞元君のお宮の神様も感動され必ず守護されたことと確信します。
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